凪ぐ湖面のように

「あっ、そうですよね。まだ知名度低いですもんね」

ハハと水谷さんは乾いた笑みを浮かべ、後頭部をポリポリと掻きながら説明を始めた。

「インターネットテレビ局ってご存知ですか? そこの者です。我が局は主に不思議系のアレコレを取材して放送しています」

ああ、と思い出す。そう言えばパワースポットや占い情報などを専門に放送するテレビ局が出来たと、占い好きの夕姫さんが嬉々としていた。

「彼はカメラマンの佐藤、彼女はアナウンサーの友枝です」

「どうもぉ」とやたら背の高い佐藤さんが軽く頭を下げる。

「佐藤君、その挨拶は何! 何度言ったら分かるの」
「おいおい、他所様の前で痴話喧嘩は止めてくれ」
「あっ、ごめんなさい。友枝です」

キッチリ四十五度のお辞儀をする友枝さん。
見掛けは綺麗だけど、かなりの堅物のようだ。

「お見苦しいところを見せてすみません」と水谷さんが頭を下げる。

「で、どうでしょう、インタビューに答えて頂けないでしょうか?」
「テレビに出演しろと?」

湖陽さんはようやく要領を得たとばかり訊ね返した。