「私、スカートですが丈夫ですか?」

頭の先から足の先までマジっと湖陽さんに見られ、何だか照れる。

「スニーカーだし、うん、大丈夫。第一、山ガール? アレみたいで可愛いよ」

どうやら登山っぽい山ではなく、ハイキングコースっぽいところを散歩するようだ。
可愛いという言葉を頭の片隅に置き、ハイキングという言葉に思いを馳せる。

最近、根を詰め仕事をしていたせいで、体がバシバシに強張っていた。これで解消されるなら嬉しいが……。

定期的にジムなどに通えばいいのかもしれないが、私は凝り性で、始めたらジムに没頭してしまうと思う。そうなると必然的に、カフェ・レイクに来る回数が減ってしまう。それは本末転倒だった。私は癒しの時間を削ってまで身体を酷使したくはない。

そんなことを思っていたら、フワァと欠伸が出る。昨夜、原稿の最終修正を終えたのが遅かったからだ。

湖陽さんは運転が上手い。恐らく、海よりも舜よりも。

だから毎回睡魔が襲ってくる。運転してもらっている身で、眠るのは悪いと思い、頑張って目を開けているが、安心も手伝って瞼が重力に逆らえなくなり――結局今日も眠ってしまった。

ハッと目を開けると湖陽さんの顔が目と鼻の先にあり、瞳と瞳が絡み合った。