「ねぇ、分かっている? その反応は嫉妬、ジェラシーだってこと。君はヤキモチを焼いているんだよ」

何たる自惚れ! どれだけ自分はモテると思っているのだ、ナルシストもいいところだ! 益々腹が立ったのは言うまでもない。

おまけに彼は「美希とは何もない」と白々しく宣った。

「何を言っているんですか。彼女はハッキリと貴方が好きだって言ったわ。そして貴方も言ったじゃない!」

吐き捨てるように言うと、「僕が何を?」と呆れる質問が飛んでくる。

「――あの日、彼女が法学部の男から『告白された』と言った日に帰りたいって」

胸に熱いものが込み上げ涙腺を緩める。それを奥歯を噛み締め堪える。

「確かに言った。だが、君が思っている意味とは全然違う」

何が違うと言うのだ。

「僕はね、あの日に戻って言いたいことを言い、キッパリ振られたかっただけだ。何年も尾を引いたのは、言葉がここに」

湖陽さんが胸をトントンと叩き、「残っていたから」と言う。

「燻った思いを何年も抱えていた自分が情けなくてね」
「でも、今、告白したら、きっと振られませんよ。両思いなんだから」
「だから、誤解なんだって!」

怒ったように湖陽さんがハンドルを叩く。
何、逆ギレ? 怒りたいのは私の方だ!