急転直下とは、物事の事態や情勢が突然に変化して、解決・結末に向かうこと、と辞書にある。

湖陽さんと再会した日、まさにその日がそれだった。
私の帰国予定は日本が春を迎えた三月、春風と共にだったのに……。

次の日。

「あらっ、迎えに来て下さったのに一人で帰す気?」

何て非道な子なんでしょう、一体誰の子と怒り出す母に、おいおい、私を引き止めていたのは母、貴女ではなかったのかと反抗するのも虚しく流に任せることにした。

「それにしても、本当、イケメンさんだこと」
「でしょう。自慢の甥っ子よ」

『世界の超絶イケメン図鑑』という記事も書いている母。その肥えたお眼鏡に湖陽さんは適ったようだ。まぁ、当然だが……。

「嬉しいわ、近い将来、こんな素敵な息子が持てるなんて」
「私も嬉しいわ! 海里家と縁続きになれるなんて」
「お義母さんにそう言って頂けると僕も嬉しいです」

誰が予想しただろう、この展開を……。

「今後の事は二人で相談して、追々ご連絡します」

にこやかに笑う湖陽をウットリ見つめる母。