十二月一日。水谷さんが言っていた放送日。
午後九時五十七分。私は放送先の『ご利益テレビ』をパソコンで恐る恐る開く。

局のコマーシャルだろうか、見慣れない着ぐるみが、軽快なリズムに乗って不器用に踊りながら『ご利益〜、ご利益〜』と歌っている。

そのあまりの滑稽さと可笑しさに、遅い時間にもかかわらず、声を上げ笑ってしまった。

そこにピコーンと着信音が届く。湖陽さんだ。
メールには、彼も同じように大笑いをした、と書かれていた。

二往復やり取りをしたところで音楽が変わり、友枝女史が登場する。

『また、後で』の文字に、番組終了後、感想がくるのだろうかと少し胸が踊り、いつもは独り切りの寂びしい部屋が、少しだけ賑やかで温かく感じられた。

約束通り、私を正面から捉えた箇所は一つもなかった。
だが、代わりに湖陽さんはバッチリ映っていた。
画面を通して見ても、湖陽さんのイケメン具合は半端なかった。

店の名前も言ったし、これは明日から大変なことになるぞと夕姫さんの怒った顔を想像して苦笑する。