それから、夏はよく小川のもとに来るようになった。


話はいつも水泳のこと。私は、苦手な算数の授業を聞いているよりも訳が分からない内容だった。


それよりも、小川の楽しそうな笑顔のことが気になった。


よっぽど水泳が好きなのか、本当に小川とは思えないほどによく喋っていた。


同時に、小川と共通の話題がある夏が羨ましく思って、私は水泳を習いたいと思った。


お母さんに水泳を習いたいと話すと、大賛成で、1週間後には体験に出かけた。


本当は小川と同じところに所属したかったのだが、さすがにそれは言い出せなかった。


水泳をやり始めると、思ったよりも楽しく、入って半年後には全種目泳げるようにまでなっていた。


しかし、そのころには季節も冬。結局、小川と水泳の話をする前に、小学校を卒業してしまった。