―――――――…

カリカリッ、とシャーペンを走らせる音だけが、静かな図書室に響き渡り続ける中。


「……もう、こんな時間か」


ふと、篠宮くんがそう呟く。

その声に顔を上げた私は、窓の外を見て目を見開いた。


「えっ、真っ暗じゃん!」

「そりゃあ、夜だからね」


時計にパッと視線を向けると、時計の針は19時を指していた。


嘘……信じられない。

時間が経つのを忘れ、こんな風に真剣に勉強机に向かったのは初めてだ。


「もうすぐ見周りが来る頃だと思うし、今日は引き上げよう」

「うん」


机に広げられた教科書類を閉じ、自分のカバンにそれらを突っ込む。


「何かゴメンね。こんな時間まで付き合わせちゃって」

「別に付き合ったとか思ってないから謝らなくていいよ。好きで居ただけだから」


無表情でそう言葉を返し、先に図書室から出ていく彼の後を自分も追いかけた。