「何か痛々しい」


自分がその痛みを感じているかのように綺麗な顔を歪める彼。


「……えっとこれは……」


言えるわけがない。

“隆臣に襲われかけた時に出来たアザです”なんて。


「どうしたらそんなアザが出来んの？」

「さあ、知らない。いつの間にこんなものが出来たんだろう……」


身に覚えがないフリをして、手首を隠した。


「まさかとは思うけど」


篠宮くんは腑に落ちない様子で


「男にヤられたとかじゃないよね？」


そう口にする。


思わず動揺しそうになったが、彼のことだからそんな態度を少しでも見せたらすぐにバレてしまう。


「そんなことないって」

「……ふうん……それならいいけど。取りあえずそれ、隠しといた方がいいんじゃない？他の人にもきっと同じこと聞かれると思うし」

「うん、そうする」