「――うん、全部正解」


答案に目を通し、赤ペンで丸を付けた篠宮くん。


「花まる」

「え?」

「どうせなら花まるにしてくれない?私、今まで一度も貰ったことがないんだ!」


子供みたいにそうお願いすると、篠宮くんは言われた通り花まるを付けた。

――しかも、葉っぱ付きで。


「何か超嬉しいかも」

「高城さんって分かりやすいね」

「それって褒めてんの?貶してんの?」

「うーん……どっちもかな」


そう笑い、その優しい瞳で今度は私を見つめる。


「なっ何?」

「さっきからずっと気になってたんだけどさ……」


篠宮くんは私に向けていた視線をそのまま手首へと移動させる。


「これ、どうしたの」

「あっ!」


彼が指差した自分の手首に、薄っすらと残るアザの存在。


――あの時だ。

保健室で隆臣に力強く握られた時に出来たものに間違いない。