「――じゃあ、古文からね」


篠宮くんは自分のルーズリーフを使って何かを書き始めた。


「取りあえずこれ、やってみて」


数分して渡されたそれは、何かの一覧表。


「基本中の基本。中学生でも出来るやつだから」


そう言って笑うが、それが何の表なのかサッパリ分からない。


「けり?なり?」


綺麗な字で書かれた単語をブツブツと呟く。


「助動詞だよ。 ……勉強したんだから分かるよね?」


篠宮くんは“けり”と“けれ”の間の空白マスをシャーペンで突っついた。

多分その空白マスを埋めろって意味だろう。


「えっと……過去だから……」

「はあ……」


うーん、と頭を悩ませる自分の隣りから、小さな溜息。