「危機一髪ってとこか?」


ホッと肩を撫でおろした私に向かってそう言った隆臣は、ベッドから降りて立ち上がった。



――ガラガラッ、


『……あっ』


それを見計らっていたかのように入ってきた女子生徒が、私たちの顔を見るなり目を丸くする。

彼女たちを見た私も、思わず声をあげそうになった。


「先生ならすぐ戻って来ると思うよ。丸椅子に座って待っていたら?」


“お邪魔しました!”と今に言われそうな雰囲気を察し、ニコッと笑顔を浮かべると隆臣と一緒に保健室を後にした。


「超、最悪なんだけどっ!」

「保健室出ていきなり何だよ?」

「今の子達、中学時代のバスケ部の後輩!」


よりにもよって、顔見知りの子に隆臣と二人で居たところを見られるなんてっ!


「千咲、バスケやってたのか?全然イメージに合わねっ」

「うるさいな!」


そんなことはどうでもいい。

ああ、まずいな……

あの子達、お喋りで有名だったんだよなあ……