スタディ・ベイビー

「――って、そんな話なんかどうでもいいんだって。今重要なのはアンタのことなんだから!」


このまま話の方向を変えようと思ったけれど、失敗。

里乃は私の顔を睨むように見つめて言った。


「SHRが終わったら、すぐに篠宮くんのところに行きな」

「は?何でっ」

「こういうのはその日のうちに、お礼を済ませるべきなの!いい?!ただ“ありがとう”ってひと言でいいんだから」

「分かったわよ。言えばいいんでしょ、言えば」

「言うのは簡単だけど……まあ、いいや」


里乃はそう言って、顔を逸らした。



「ほら、席着け」

タイミング良くチャイムが鳴り、担任が入ってくる。


里乃が何を言おうとしたのか少し気になりながら、私は自分の席へと着席した。