スタディ・ベイビー

「……あ、ラベンダーの香りだ」

「どれどれ?」


私の手首を掴み、自分の鼻に引き寄せる里乃。


「これって偶然?」


首を傾げながら里乃が呟く。

何故なら私がラベンダーが好きだということを、里乃だけは知っていたからだ。


「単なる偶然に決まってるじゃん。だって、昨日まで一回も話したことないんだよ?」


蓋を閉めて制服のポケットに突っ込むと、椅子から立ち上がって窓の桟に腰かけた。


「で?ちゃんとお礼言ったわけ?」


里乃がこちらに体勢を向けて、真っ直ぐに足を伸ばす。


「え?言ってないけど……」

「はあ?!プレゼント貰っといてそれは無いんじゃないの?!」


呆れた様子で溜息を零す。