スタディ・ベイビー

「でも何でアンタの為に?」

「そんなの知らないよ。本人に聞けば?」


里乃からプレゼントを取り返すと、自分のロッカーにそれをしまった。


「――でも、意外」


席に戻ってきた私に、里乃はそう言いながら自分の髪を人差し指でクルクル巻く。


「あの超人気の篠宮くんが、千咲によりにもよって花をプレゼントするなんて」


“私には花が似合わない”

そう言っているかのように聞こえた。


「……手っ取り早かったんじゃん?家から持ってくるだけだもん」

と、窓に照らすようにして小さな香水瓶を掲げる。


「それって一緒に入ってたやつでしょ?」

「うん。どんな匂いか気になったから出してきた」


蓋を開け鼻を近づけてその匂いを嗅いでみた。