スタディ・ベイビー

――翌日の朝。


「……ゲッ、な……何で居るの?!」


いつもと変わらずギリギリに家を出ると、家の前に篠宮くんの姿があり、思わず後退りしてしまう。


「昨日遅くまで勉強してて寝坊した」

と特に慌てる素振りもなく、冷静な様子。


「そうじゃなくて!何で家の前に居るのよ!」


私がそう聞くと、篠宮くんは右手に持っていた紙袋を差し出した。


「……へ?」

「これ渡そうと思って待ってた」


渡す……?私にこれを?


「早く受け取って」


無理矢理紙袋の持ち手を握らせ、自分はさっさと立ち去ろうとする。

何かと思って中を開けると、そこにはプリザーブドフラワーと小さな香水瓶が二つ入っていた。


「……え?何これ……」


プリザーブドフラワーを包む透明のビニールには“Happy Birthday”という文字が印字されている。