「浮かねぇ顔してどうした?」


心配そうな顔で顔を覗きこんでくる。


「別に何でもないよ」


持っていたファイルで顔を隠そうとすると、


「……何だ?これ」

「あっ!」


隆臣が不思議そうにそれを取り上げた。


「これって答案用紙じゃん」


私の許可も取らずに、勝手にファイルからそれらを取り出して点数を見る。


「お前、すげえじゃん!よく頑張ったな!」

「あの、さ……ありがとね」

「は?何が?」

「隆臣も勉強見てくれたから、お礼ちゃんと言おうと思って」


自分ひとりだけの力でこの結果を出したわけじゃない。

隆臣や篠宮くんが私の為に、時間を割いてくれたからでもある。


「意地っ張りなお前も好きだったけど、素直なお前も好きだわ」


突然ギュウっと抱きしめられ、私はあたふたする。