「えっと、ごめん。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど」

「最初から聞いてたの?」

「……まあ……」


全部聞いてしまったことを素直に白状すると、一番驚いていたのは彼女ではなく、篠宮くんの方だった。


篠宮くんはハッとした顔で、

自分の口元を手で押さえて黙り込む。


「……ッ、もう!」


鮫島さんはズカズカと近寄って来ると、私の顔をマジマジと見つめてくる。

そして次の瞬間、左頬に鋭い痛みが走った。


「ほんっとうにムカつく!」


そう言って私をキツく睨みつける。


「環は素直じゃないし、アンタはアンタで顔を見るだけでイラつくのよ」


なっ……

顔を見るだけでって、あまりにも酷すぎじゃない?!


「もうやってらんない、勝手にして」


彼女はそう言って図書室から出て行った。