「鮫島に俺の何が分かるの?」

「分かるよ!だって私はずっと環のことを見てきたんだから!」

「……俺、鮫島のことは仲のいい友達だと思ってる。だけど、それ以上には思えない」

「じゃあ、高城さんは?あの子も仲のいい友達?」


彼女の言葉に、思わず息を止める。

こういう状況の中で自分の存在をかき消すのは、相当辛いものがある。


きっと鮫島さんは、今図書室に居るのは二人だけだと思っているだろうし、それは篠宮くんも同じのはず。


「友達、っていうのとはちょっと違うと思う」

「違うって……じゃあ好きだって言うの?」


彼女の問いかけに篠宮くんは何も答えない。


――ドキン、ドキン


次第に速まる自分の鼓動が、聞えてしまうのではないかと少し心配になる。


「ねえ、どうなの?黙っていたら分からない!」

「俺のことをずっと見てきたなら、それぐらい聞かなくても分かるだろ?」

「はぐらかさないでっ!」



ギュッと目を瞑る。

――篠宮くんの口から次に出る言葉が怖い――…