車が正門から走る去るのを見送ってから、私は自分の荷物をまとめて図書室へと向かう。


“図書室に行くから”というメッセージを篠宮くんに送信する。

自分の解答を問題用紙に書き込み、それを持ってくるように言われていたからだ。


「返事来ないけど、アイツ本当にいるのかな」


いつもいるはずだから今日に限っていないことは無いと思うんだけど、“分かった”ぐらい返事してよ……


少しイラつきながら図書室の前までやって来ると、そのドアを開けた。


「あれ？いない……」


いつも座っている席に姿がなく、キョロキョロと室内を見渡していると、本棚の方から分厚い本を持って出てきた。


「良かった、いた。し――…」

「環」


声をかけようとした時、本棚の影から鮫島さんが現れた。


……え？何で彼女がここに？

カウンターに身を潜め、物音を立てないようにそっと背中を丸める。