スタディ・ベイビー

――とは思ったものの、篠宮くんの連絡先なんて一切知らない。

よく考えてみればアイツとの接点は“放課後の勉強会”だけ……。


「高城さん」

「……え?何で居るの!」


学校で隆臣と別れ、ひとり帰宅すると何故か家の前に、篠宮くんが立っていた。


「ハルちゃんは?」

「もう家まで送ってきたよ。だからここで高城さんを待ってた。高城さんはいいって言ったけど、この薄暗い中をひとりで帰したのはマズかったなって……」


申し訳なさそうな顔をする。


「でも考えてみれば家に帰ってきてるかなんて、ここに立ってても分からないなって思ってさ。そしたらちょうど高城さんが帰ってきた」

「もしかして心配してくれたの?」

「当たり前」


篠宮くんは安心した様子で小さく息を吐いた。


「篠宮くんって馬鹿だね」


そう言って笑う。


「馬鹿って……」

「一応お礼のつもりだったんだけど」

「分かりづらいお礼」


そう言いながら篠宮くんも笑った。