「キスしたからって何よ!別に付き合ってるわけでも好き合ってるわけでもないくせに!」


そう言われるとそうなんだけど……


「中学の頃から環の一番近くに居たのはこの私なの!それを後から入ってきた人に取られたくないわ!」

「環んち花屋の常連客だか知らないけどさ……アイツは鮫島さんの所有物じゃないよ」

「なっ!」

「何年もずっと傍に居て、自分の気持ちも伝えられなかったのに、第三者が入ってきたらそうやっていつも突っかかってきてたんでしょ」


さっきまで威勢が良かったのに、突然シュンとなる。


「取られたくないなら、ちゃんと捕まえておけば?」


満面の笑みを浮かべて微笑むと、彼女の横を通り過ぎた。


「何が“取られたくないなら、ちゃんと捕まえておけば?”よ」

「里乃っ!」


教室前の廊下に突っ立っていた彼女が、呆れた様子で溜息吐く。


「い、いたの?」

「アンタが戻って来る前からずーっと居たわよ」


里乃はそう言って窓の手摺に肘をついた。


「……で?私にも詳しく説明してよ。放課後、アンタと篠宮くんが何をしているのか」


勉強を見てもらっていたことを隠していたけれど、話を聞かれ隠しても無駄だと、これまでのことを里乃に話した。


篠宮くんとのこと、そして隆臣とのことも全部……。