スタディ・ベイビー

「何よ、気になるじゃない」


彼の前に回り込むと、唯くんはフッと笑いながら顔をあげた。


「俺からそれを聞いてどうするんですか?」

「え?」

「他の人に勉強見てもらっているなら、今のは聞かなかったことにしてスルーすればいい」

「唯くんが気になるようなことを口にするからでしょ?そこまで言ったなら言ってよ」


途中まで言われて後で“やっぱりいい”っていうのは、一番気になる。


「分かりました。その代わり、どうするかは千咲さん自身で決めてくださいね」


唯くんはそう言って、続きを話し始めた。


「破けたプリントを持ち帰ってきたと思ったら、セロテープを持ち出して全部くっつけたんですよ。“何してんの”って聞いたら、これがないと千咲さんが困るかもしれないからって……」

「何それ、意味分かんない」

「最初から見る気がなければ、兄貴は引き受けたりしませんよ。だって、そうだとしたらワザワザ徹夜までしてプリントなんて作らないですもん」


徹夜だなんてそんなの初めて聞いた……。


「だから本当は千咲さんの勉強を途中で投げ出したのだって理由があったからです。何で突然兄貴は、千咲さんの勉強を断ったんですか?」

「それは……」


その時のことを覚えている限りで話すと、唯くんは“へ~それでか”と一人で納得した。