「次は誰に手を出すつもり?」


明らかにバカにしたような笑い声をあげる彼女。


「悪口ばっかり叩いてると、性格がそのまま顔に出るよ」

「はあ?何が言いたいのよ!」

「何って、そのままだけど?自分の顔を化粧で飾っても隠し切れてないって意味」


そう言うと、彼女は顔を真っ赤にさせて怒りを露わにする。


「それと……自分が環に相手にされないからって僻むのはやめてくんない?そういうのウザイ」

「なっ……!誰とでも簡単にするようなアンタこそ、彼が相手にするはずがないじゃない!」

「……私……、アイツとキスしたよ」


彼女の“誰とでも”という言葉に苛立った私は、勢い余ってそんなことを口走っていた。


「キスした……って……そんな嘘が通じると思うの?!」

「嘘だと思うなら、環に直接聞いてみればいいよ」

「分かったわ!」


彼女は唇を噛みしめると、そう言ってトイレから出て行った。