スタディ・ベイビー

「……あれ、ＳＨＲは？」

「先生が体調不良だとかで遅れるみたいよ。あんた、遅刻免れたね」

「遅刻とかどうでもいい」


溜息つきながら自分の席に着席する。


「ああ、そうだったわね。千咲は別に遅刻ごときで慌てるような女じゃないもんね」

「……何が言いたいのよ」

「単刀直入に聞く。あんた、柳先輩とヤったの？」


私の前の席に腰掛けるなり、里乃は真顔で聞いてきた。


「はっ？！ヤったって何？！」

「さっき、階段ですれ違った１年の子がアンタと先輩の話で盛り上がってたから」


まさかとは思ったけど……

中学の頃からお喋りなのは変わってないってわけね。


「何をどう盛り上がってたか知らないけど、アイツとはそんなんじゃない」

「ふうん……でも柳先輩は本気で千咲のこと好きなんじゃないの？」

「そうだったとしても、私はどんなに言い寄られても隆臣だけは無理！タイプじゃない！」

「えー、２人お似合いだと思うのになあ」


里乃はこの話題に飽きたらしく、退屈そうに欠伸を一つ吐くと、そう言って自分の席に戻って行った。