「だから、いい加減俺と付き合うって言えよ。そしたらすっげー大事にするし」

「……は?悪いけど、あんたに釣られる気は更々ない!」


そう言って隆臣の横を通り過ぎようとした時だった。


「釣られる気がねぇのに、何で俺にドキドキしてんの?」


隆臣はあたしの手をグッと掴むと、責め立てるように私を下駄箱へと押し付けた。


「ちょっ」

「本当は俺みたいな男に弱ぇくせに。リードされんのが好きなんだろ?」


確かにリードしてほしいとは思う。

だけどこういうことを言ってるんじゃないし!


「離れてよ!ここを何処だと思ってんの?!しかも朝っぱらから何よ!」

「いいね、そういう顔。余計にそそられる」


睨みつけてみたが効き目などなく、逆にそれが隆臣に火をつけてしまったみたいだ。


「学校じゃなきゃいいんだ?朝じゃなきゃオッケーってこと?」

「そういうことを言ってんじゃないっ。離れろバカ隆臣っ!」

「千咲の方がバカだよ。そのどキツイ目が逆に俺を誘ってんだって気付かねーんだから」


隆臣はそう言って、今にもキスしそうな至近距離にまで迫ってくる。