「なんなら持って帰るかい?新聞紙にくるんであげるから、家で花瓶にでも挿しておくといい」

「えっいいの?!」

「いいよ。こんなたくさん咲いてるし。放課後、用務室に取りにおいで」

「ありがとう!放課後もらいに行くね」


私は立ち上がると、おじちゃんに手を振って下駄箱へと急いだ。



「千咲も遅刻なんて、俺ら気が合うなあ」


忘れずに取りに行かなくちゃ、と浮かれていると、遅れてやってきた隆臣と出くわした。


「別に気が合うとは思わないけど」


靴を履き替えて、下駄箱を閉める。


「相変わらず千咲は俺に冷てぇのな。まあでも、そんな釣れない千咲だから好きなんだけど」

「人のこと、魚みたいに言わないでくれる?」

「んな風に言ってねぇよ。俺は純粋に“好きだ”っつってんだろ」


下駄箱を閉め、隆臣がニコッと微笑む。