「千咲さんの方こそ急がなくて平気なんすか?」

「私はいつものことだから全然大丈夫! ……って単位は危ういけどね」


あはは、と乾いた笑いを漏らす。


「それにしても唯くん、本当にお兄さんにそっくり。特に笑った顔とかが」

「よく言われます。でも俺は兄貴みたいに容量よくないから成績だってあまりよくないし……」

「――もしかしてコンプレックスとかあるの?お兄さんに対して」

「え、それは全然ないっす。俺、兄貴のこと尊敬してるし自慢ばっかしちゃうぐらいだし……って俺何言ってんだろ」

「お兄さんのこと、好きなんだね」


そう言うと、唯くんは照れくさそうに頭を掻いた。

そんな彼を見て、自然と笑みが零れた。