「篠宮?」


眉間にシワを寄せる隆臣。


「そうか、あんたが篠宮か」

と上から下まで撫で回すように篠宮くんを見る。


「人のことジロジロ見ないでくんない? “そうか”って何のこと?」


隆臣の行動が気に障ったらしく、篠宮くんは不機嫌そうに顔を顰めた。


「ああ、わりぃわりぃ。いやさ……千咲とアンタが噂になってるっつーから、俺としては気になるわけよ?」


隆臣はそう言って両手を胸の前で組む。


「噂ってどんな?」

「千咲がアンタに惚れてるって」

「ちょっ、違うからね?!単なる噂にすぎないから!本気にしないで!」


驚いた様子で目を瞬かせる彼に慌てて弁解すると、すぐさま隆臣の肩を強く叩いた。


「隆臣、何変なこと喋ってんの!?余計なこと言わないでよ」

「ああ?聞かれたことに対して答えただけだろ?つーかオメェ相変わらずイテェんだよ」

「いっ……!」


思い切りデコピンを食らわされ、ジンジンと感じる地味な痛みに額を手で覆った。