告白の時間

綾子さんと食事をした後、タクシーをつかまえて綾子さんを見送った。それから自分もタクシーをつかまえ、ホテルに帰える。

部屋に着くとスーツ姿のままベッドに倒れ込んだ。肉体的な疲れと精神的な疲れが、どっと押し寄せてくる。
シャワーを浴びて寝てしまおう…そう思ってネクタイを外し、ふと腕時計を見た。

今ならまだ列車があるなぁ…それから、明日一日がオフな事を思い出す。

「そう言えば自分、ぜんぜん遊ぶヒマなかったよね…」

当時は仕事で世界が回っていた。こちらの友人を訪ねるにも、友人じたいが存在しない…

「あ、花園がいたっけ…でも今、日本にいないし…」

何だか無性に淋しくなってきた。窓の外を見れば街の灯りがイルミネーションのように輝いている。

ここにいる理由が思いつかない…
さっきまで都内をぶらぶらしてから、帰ろうかと考えていた。でも今は違うプランが頭をしめていた。

「思い立ったが吉日って言うでしょ…?」

そんな独り言を口にしながら荷造りを終えると、チェックアウトを済ませ夜の街に出てタクシーをつかまえた。

何だか良いな~こーゆーのって…自分は何て自由なんだろう、とか思ったりして…