「桂木さん…答えはちゃんと聞きましたよ…すっごく後味悪いんですけど…」

仰向けになって見ていた視界を腕でふさぐと、さえぎった。

目を閉じると、先程イヤフォン越しに聞こえてきた千歳の泣き声を思い出す。哀しい声が耳について離れない…

バカだな千歳は…

小さなため息をつく。

「どうする?自分」

思わず口をついて出た問いかけは、二つの選択肢へのものだった。



…翌朝、最後の報告に対する返信のメールがきていた。

『報告ありがとうございます。鳴海君が言うのなら、きっとそうなのでしょう。それから、お礼としてレア物の酒をいくつか送ります。でわこれにて、千歳の幸せ計画を終わりにします。お疲れ様でした 桂木』

という一文でメールはしめくくられていた。

それを読み終えた後、しばらくしてからもう一通、桂木からメールがきた。

『私としては今後の鳴海君の動向がとても気になります。よろしければ報告の続行を依頼したいのですが?』

鳴海は無表情にこのメールを読むと、すぐに返信を返した。

たった三文字、短い言葉で…

『や・で・す』

…と。


(おわり)