お兄ちゃんの後を追いかけようとすると、誰かに後ろから羽交い締めにされ口を塞がれた。



「声出すな。」



低い、くぐもったような声。



「やれ。」



その男がお兄ちゃんに向かって顎をしゃくった。 



2、3人の男たちがお兄ちゃんに向かって行く。



大丈夫、お兄ちゃんは中学卒業まで空手やってたから。



私は願いを込めて、お兄ちゃんを目で追った。