おろおろしていると、容赦なく睨まれる。



仕方なく隣に行くと、思いがけない言葉がかけられた。



「大丈夫だったか?」



私は緊張が顔に出ないように俯いて応えた。



「はい。
高内先輩、何で助けてくれたんですか?」


「…高内。
ため口でいい。」



読んでいた本をパラリとめくって言った。



初見の印象はどこへやら、なんだかいい人っぽい。



「どうして高内は助けてくれたの?」


「別に。」



思わずクスッと笑ってしまった。


ため口でいいっていうのは時間稼ぎか、話を逸らしたかったんだろう。



確かに私は「そんな…。」といつもなら遠慮するけど、今回は話題がこれだけに素直に受け入れた。



私を睨んだ高内が少し赤かった。


…私の予想を決定付ける反応だった。