「う…わぁ…。」



梨絵は綺麗な顔を歪ませて、私を見た。



視線が労ってくれている。



「梨絵は誰となった?」



いつまでたっても口を閉ざしている梨絵に声をかけた。



「ん、みんな知らない人。
クラスの人もいたけど、話したコトない。

あ、面白い先輩いたよ!
名前は山田 太郎。
‘名前勝ちしてますけど、何か?’って言って、みんなを笑わせたんだよ。」



梨絵は頬を薄いピンクに染めて話している。



これはこれは…。



「ズバリ惚れちゃった?」



私はビシッと指を差して言った。