(水神・桐本美希side)

い、今の…。

「おい…。今の子、ただ者じゃないな。思いっきり人格変わってた。」

そう言ったのは、少しチャラい幹部の木元 雅也(きもと まさや)

「あの強い殺気…。何者なんだよ。」

次につぶやくように言ったのは副総長で真面目な葛木 旬(かつらぎ しゅん)

「どうしてあんなに怒ったんだろう…。それに、俺って…?」

私の独り言に返事が返ってきた。

「あいつには、過去があるからだろうよ。それも、暴走族に…。」

その返答の主は無口な幹部の西ノ宮 龍生(にしのみや りゅうき)だった。

「過去?みんなみたいな?」

「う~ん。そんなところだね!あの子のこと調べようかぁ…。しゅーん。」

そう言ったのは、可愛い系総長の絹岬 葵衣(きぬさき あおい)

「了解。ちょっと待って。」


5分後


「終わった。葵衣!起きろ!」

待っている間に寝てしまった葵衣君を旬が起こした。

「んっんん~!わかった?」

「あぁ。」

「どうだった?」

「情報ない。なにも出てこなかった。名前自体偽名かもしれない。」

何も知らない、わからない私にはとてもじゃないけど、理解をするのに時間がかかった。

「えっと~…。私はあの子と仲良くなりたい!正体なんてどうでもいい!」

理解してすぐに本当の気持ちを言った。

「うん。いいよ?」

「「「「はぁっ?!」」」」

葵衣君の言葉にみんなあほ面だ。

「いいのっ?!」

「うん。ついでに監視できるしね。」

「得体も知れないやつだぞ?」

即答した葵衣君に旬は疑問をぶつけた。

「だから、見張るの。それにあの子、暴走族に対して殺意をもってた。あんなに穏やかな子が俺ら暴走族に“死ね”って言ったのが気になる。今日倉庫に連れていくよ。」

「まじかよ…。」

龍生の心の声が漏れた。

「じゃあ、私が呼びに行くね!」

「よろしくねぇ~!」

葵衣君のOKをもらった。

今日から楽しみだな。

怜奈ちゃんは何か重い過去を持っていることは私にもわかった。

守ってあげたい。喧嘩とかはできないけど、私にできることで…。



(水神・桐本美希side)END