(水神の葵衣side)

玲菜がいなくなってから、部屋の空気は最悪だ。

何を言えばいいかわからない。そう思っていると、

ガチャッ

「こんにちわ」

「あぁ、詩織か。」

詩織が入ってきた。

「あ、あのぉー、怜奈ちゃんが来ているはずなんですが…?」

「あぁ、玲菜なら帰ったよ。」

旬が言った。
すると、詩織の顔が驚きに変わった。

「え?名前…。どうして知っているんですか?」

「あぁ、それは…」

俺は、詩織が来るまでのことを話した。

「それで、皆さんは玲菜ちゃんの嘘の言葉を信じたんですか?」

「嘘の言葉?あぁ、美希をはめるための言葉か…。」

雅也が納得したように言った。

「違います!」

突然、詩織は大きな声を出した。

「その言葉ではありません!葵衣ならわかるはずです!
姫の勧誘しましたよね?私、玲菜ちゃんから聞いたんです!
葵衣に、“水神のもう一人の姫にならないかって誘われて、断ったと”」

「は?葵衣。どういうことですか。」

旬が疑うような視線を向けてきた。

「はぁ、話がある。まず、美希。玲菜からだ。」

そう言って、預かった手紙を渡した。

「え?私?どうして…?」

「そして、あとは詩織だ。これ」

玲菜から預かった袋を渡した。

「俺が玲菜から聞いたことを言おうと思う。
だが、その前にまずは美希と詩織。玲菜からもらったやつを見ろ。」

(水神の葵衣side・END)