「ほんと、つれないなぁ。
私たち上手くいってたのにね」


私と会長にはどうしても出せない、この空気感。
うらやましい、っていう気持ちがどんどんどんどん積もる。

だってこの人は、会長と色んなことをしてきたはずだから。



「私今日からこっちで暮らすの。これからよろしくね桃杏ちゃん」





そう言って颯爽と去っていく紗枝ちゃんの背中から、ずっと目が離せないでいた。


……きっとそれは、会長も。