「まぁ……割とそこが取り柄だったりします」

その素直さのおかげで、今会長と付き合えている気がするし。
だけど綺麗な人に言われるとなんだか照れてしまう。


「わかった、かわいいから教えてあげる。
私と透矢は中学の同級生で両想いになって付き合った。だけど一年後、私は急に引っ越すことになって今後のことを話し合いたくて待ち合わせをした。だけど私は行かなかった…行けなかった」



「…行け、なかった」


「いつこっちに戻ってこれるかなんて分からない。もしかしたら戻ってこられないかもしれないし、私の存在は彼を縛り付ける。それにふと気づいてしまって…足が動かなかったの」



いつまで経っても来ない紗枝ちゃんを待ち続ける会長を、想像した。
……少し悲しそうで、なにかを悟ったような表情をした、彼を。