「黙っててすみませんでしたね」
「いや、さすがに俺も驚いたけどね」
 いつまでも続くだろう祝宴を抜け出したクーデノムとマキセは、慣れたいつものクーデノムの部屋でいつもより豪華な中身のグラスを傾けていた。
 北陸の農耕の国・リサニル産の年代モノの果実酒。
 国の輸入取引にクーデノムが個人で買い入れている代物だ。
「私も、あの時に推薦されるとは思わなかった」
「あはははは 俺の計画的犯行だな」
「私は人の前に立つような性格じゃないから、王にはなりたくなかったんです」
「お前は自分を過少評価しすぎだな」
「…そうは思わないが」
 真剣にそう思っているのだろう彼に、マキセは苦笑してみせる。
「国の政策から町の苦情まで、クーデノムの今までの行動が国を支える一端を担っているのは事実だよ。皆もそれを認めていたから賛成したんだろ。強気で引っ張るだけが王じゃないのさ」
「……ま、優秀な側近の補佐役がどうにかしてくれるんですよね」
 諦め顔で親友の顔を見る。
「あはははは…それこそ心配だなぁ」
「マキセは私が王になることを承諾すると思っていたのか?」
「うーん…半々で確信かな」
「なんですかそれは?」
「『クーデノムは押しに弱い』が王宮では暗黙の了解だからさ」
「……………………」
 押し黙るクーデノムを見て、マキセは楽しそうに笑い続けた。

                【END】