長かった夏休みも終わり
新学期が始まっても
まだ蝉の鳴き声が止まず
暑い日々が続いていた。


夏祭りの苦い想い出には
誰も触れないまま、
またいつもと同じリズムで
学校生活が流れていた。



「また隣のクラスの恭子ちゃんが来てる」


学校内の情報に常に電波を張り巡らせ
誰よりも最新情報を届けてくれるのは
舞花だった。

隣のクラスの恭子ちゃんは
フランス人形のようなハーフ顔で
私とは正反対と言ってもいいくらいだった。

女の私ですら
守ってあげたくなるような
小動物系女子である。

でも唯一私と同じなのは、
彼女も門倉が好きだってこと。



家庭科部だし、クラスも違うから
特別話したことはないけど、
誰もがみててわかるくらいだった。



保健体育の授業は男女別で
隣のクラスと合同だから
恭子ちゃんのちょっと鈍臭さは
自然と目に入るんだよね。


あーぁ、今日も可愛いな。

男子がいないのに、この鈍臭さ。
決してあざとくない行動に
性格の良ささえ感じてしまうんだな。


門倉が恭子ちゃんのこの姿知ったら
どう思うかな?


好き。
になっちゃうのかな?