1日あけると、
昨日の帰りに走り去った自分が恥ずかしくて
なんとなく門倉の顔を見るのが怖くて
アイツが登校する時刻より
あえて20分前にずらした。


門倉、どう思ってるかな。


そんなことばかり考えて
教室へと進む足が重くなる。





あ…もう来てる。




アイツも、同じこと考えてるのかな。
そしたら余計に気まずいじゃん。



門倉に気づかれないように
目線も合わさないように着席した。


いつもなら顔を合わせれば

よ!

て、お互いやるのに


そっちが見れないよ。


私はわざと忙しいかのように
カバンや机の中の整理をした。



でも、見ないようにしてたせいで
余計に門倉がどうしてるのか気になって…
でも見れなくて。




しばらくして始業のチャイムがなる。


ギギギ…

隣の席の椅子がひかれても
静かに着席したアイツに心臓が痛くなる。


すぐに担任の先生が教室へ入って来て
突然の席替えを発表した。


いつものくじ引き。
男子は教室の外へ出され
女子から先に
小さな紙に雑に書いた数字をみて
新しい席へと机ごと移動する。

私は教室の真ん中の席から
後ろの出口から1番近い席へと移動になった。



次は、男子の順番。


廊下には机を引きずる音が響く。



その音が鳴りやめば
移動が終わった男子達が着席しているわけだ


「梓ー、近くになれたらいいね」

昨日のやりとりを何も知らない舞花が言った


私が言いかけたと同時に
担任の先生がドアを開け入室へと促した。



私と門倉は
ずっと、隣だったり近くの席だったけど

今回はそれとは違った。


窓際の1番前。


今朝の私達のように
席でさえ1番遠くなっちゃったね。



いくら同じクラスでも
同じ部活でも
席が離れるとこんなにも話さなくなるのか…
というくらい
私達が話さなくなって
1週間が軽く過ぎていった。



そんな私達をみて
舞花が気づかないわけもなくて


私に気をつかって
話が出来る機会を作ろうとしてくれていた。


陸上部でも女子から男子への伝達事項の担当になったりしてみたものの
アイツはこちらに見向きもしなかった。


こんなはずじゃなかったのにな。

アイツに彼女ができた時よりも
アイツと話さない毎日のが辛かった。

門倉は私と話さなくなっても
全然平気みたい。

それも辛くて…

自分が何に期待してるのか
自分が門倉の何になりたいのかさえ

わからなくなっていった。


「今まで、あえて聞かなかったけどさ
梓と門倉なにがあったわけ?
もう見てらんないよ。
あんた達の夫婦漫才みたいの聞いてないと、こっちが落ち着かないわ」

アイツと話さなくなってから2週間。
門倉の下駄箱を見るのがスッカリ
日課になってしまったな。



アイツ、まだ帰ってないんだな…
いつもは早いのに
今日は恭子ちゃんと一緒に帰ってないのかな






胸の奥が痛くなった。
急に涙がポロポロと出てきて止まらなかった



学校では泣かないって決めてたのに…

なんでこんなに苦しいんだろう。




戻りたい。



前みたいに戻りたいよ。