…ガサガサ…



「なに?今の!」

急に緊張感が走るような口調で舞花が言った



なに?なに?なに?


なにが起きてるの?



4人で耳を澄ましながら無言になった。




…ガサガサガサ。





『!!!』

今度は4人一斉にその音を聞いた。


思わず何かに隠れるようにしがみついたのは
門倉の腕だった。


ふと、我に返ってパッと離した。



掴まれた腕を見た後、私の事を見る門倉。


『ご、ごめん。思わず…』




なんか言ってよ。
恥ずかしいじゃん!!




微妙な空気をぶち破ってくれたのは
やっぱり近藤だった。



「写真撮ろうぜ!」


「いいねぇ〜、写っちゃうかもねー」
と、意気投合したのは舞花だった。




『私、いいや。
自分の後ろに写っちゃうのも嫌だし』


あれだけ色んな女子に門倉の写真お願いされて、断ったのに…
今は写真撮っても良いの?

私とならいいの?


また期待をしてる。

私とならいい!て再確認したくて

(いいから、撮るぞ!)て
言って欲しくて。

あまのじゃくな私が
また再登場してしまった。



「じゃ、お前が写真撮れよ。」






あぁ、また期待はずれ。
でもまたすぐに期待して…


『嫌だよ、撮影者が1番やばいって
よく聞くし!私は見てるよ』



ほら門倉、言って!


(いいから、撮るぞ!)

て強引に言ってよ!






「いいから、撮れよ!」




…は?
撮れよ!じゃなくて撮るぞ!
でしょ?


あぁもうホントに期待はずればっかりだよ




嫌々ながらも撮影者になった私は
端で腕を組む門倉に視点を合わせながら
その隣でキメポーズをする近藤と
それを見て大笑いする舞花の写真を撮った。




期待どおりの言葉はくれないけど
門倉こそあれだけ嫌がってた写真なんか
撮ってくれちゃってさ。


素直じゃん。



写真を撮り終わると
後ろのグループが追いついたようで

結構盛り上がってる声が聞こえた。


「おー合流じゃん!」
斉木達も女子とグループをつくって
来ていたらしく

すぐに人数は倍以上になり
肝試しというか今朝の山登りと変わらない状況になっていた。



「あー出口だよー!光が見えて来たー」


誰かが言うと、急にみんな走り出した。


ちょっと、待ってよー!
私を置いてかないでー!


あ。また立ちくらみ。



不調が今頃本気モードになって出て来た。


うまく走れない私を待ってくれてたのは
門倉だった。



そして、また前髪がまつ毛をこすった。
今日は手があったかいんだな。




「さっきの写真誰にも渡さないで
お前だけが大事に持っとけよ!」




門倉はそう言うと
また私に背を向けて出口へと前進した。






どういう意味?



また心臓がドキドキした。




ズルイよ。


期待はずれだけど

いつも不意打ちの予想外。


また期待しちゃうじゃん…