「梓!
今日の夏祭りに門倉達来るって!」

グランドの白線を直していた私に
耳寄り情報を持って来たのは
親友の舞花だった。


きっと
休憩中に同じ陸上部の誰かから
ゲットしてきた情報なのだろう。


『まったく舞花は仕事しないで
どこ行ってたのよ〜
もう3年生引退したんだから
私達がシッカリしないといけないんだよ』


正直ドキドキするような
嬉しい情報なのに

ガラにもないような事を言ったのは
舞花にすら照れ臭かったからだ





「門倉達、服のセンスヤバかったら
マジでひくよね〜」


『あ…』


いつもなら
舞花よ、おいおい人の話を聞きなさい
とツッコミを入れるところだったけど
舞花の言葉に現実に引き戻されていた



理由はただ1つしかない。



服のセンス!
中2でも
これ1番大切なこと!



学校でもイケメンで有名な
門倉健太withその他


イケメンがセンス悪くても
まだなんとかなるものだが


私、川藤梓
周りから良く言われるのが

女芸人だったら可愛い部類に入るよね…

まさに微妙ってヤツだ。

私自身、洋服なんて
着られればいいと思ってたくらいで
まったく気にしたことがないし
髪型や見た目も
まったく気にしたことがない。

だから
女芸人なら可愛い部類
と言われようが
全然気にならなかった


でも 今は違う
この初恋に気付いてしまってからは違う


夏祭りだから浴衣の方がいいのか
髪型はお団子結びがイケてるのか


そんなことを考えてたら
急に夏祭りに行くのが億劫になってきていた




こうなったら恥ずかしさは捨てて
私と違ってオシャレ大好きな仁科舞花様に
お願いするしかあるまいっ!


私からのお願いを聞くと
なぜか私より張り切る舞花に
少し戸惑いながらも
今日の夏祭りの打ち合わせで盛り上がった。