「斎藤組長だ!」 「斎藤組長、お帰りさなさい!!」 門をくぐるなり多くの男に囲まれた一。 一君には部下がいるんだ。 ずいぶん慕われているんだな。 なんて呑気に考えていると男達の視線が私に向いた。 「組長、後ろの奴は?」 雪の存在に気づいた男達は怪しいと言わんばかりに眉間に皺を寄せた。 それもそのはず。 雪は黒い袴姿に笠をかぶっているため顔が見えていない。 怪しさ丸出しだ。