職権乱用を振りかざす伊東さんに断れず大人しく着いて行くと視界が閉ざされた。


「伊東さん、悪いがこいつに用があるんだが借りてもいいか?」


「……仕方ないですね。また是非いらしてくださいね」


土方に助けられ、ホッと気づかれないように溜息を吐く。


「ありがとう歳さん」とお礼を言うとバチンッとおでこを弾かれた。


僅かに走った刺激に何をするんだ、と視線を向けると器用に片眉を釣り上げた土方の姿があった。



おっと、怒っていらっしゃる。


「伊東さんには気をつけろ、と俺は言わなかったか?」

「言っていました」


どうやら私は伊東さんに目をつけられているようで、できるだけ近づかないように土方から注意を受けていた。