少し夜風に当たろうと絢爛な花街を彷徨う。
行き交う人は一時の夢を求めて酒と女に溺れる男ばかり。
一人で歩いていると昔総司と平助と歳さんたちを追いかけてきた時と同じ不安が胸を覆っう。
小さかった私が見た大門は妖しく見えてそれは物の怪の世界と通じているように感じられた。
「私…何でこんなところに……一人で…」
路地に入り声を押し殺しながらしゃがみこんで泣いていた。
勝手にお座敷を抜け出したくせに一人が怖くて花街が怖くて新撰組隊士が路地裏で膝を抱えて泣いている。
ーお願い、誰か助けて。
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