◇
「いやー驚いた驚いた、まさかあの西条郁也が女の子のこと待ってるなんてね!」
目の前でゲラゲラと声をあげながら笑う雄也。それを「だまれ」と言いながら睨む郁也。
どうやら2人は幼馴染の腐れ縁というやつらしい。
あの後、とりあえず話でもするかということになり、私たちは近くのファーストフード店に来ていた。
隣に座っている郁也は殺気立っているものの、『王子様』の仮面は完全に外している。それって心を許してるってことだから、きっとふたりは仲良しなんだと思う。
「仲いいんだねえ」
「えっ、そう見える? 腐れ縁なだけなんだけどねー。小学校からずっと一緒だもん。な、郁也?」
「まあな」
郁也はイキナリなんだか照れくさそうだ。
「コイツ昔っからモテてさー。中学の入学式なんて、その日にテニス部の一番可愛い先輩から告られてんの!」
「へえ、そうなんだ……」
「そんなこと忘れたっつうの」
郁也がまた機嫌を損ねて黙りこむ。
わかっていることだけど、郁也ってモテるんだよね。こんな性格だけど、表の顔は王子様を貫いてるし。
というか時々忘れそうになるけど、郁也の外見は超がつくほどイケメンだ。モテないわけがない。
「でもさ、こいつ絶対彼女だけは作んなかったの」
「えっ」
「……」
郁也が黙りこむ。たしかに、言い寄られてばかりで自分から恋なんてしたことないし、彼女なんていたことないって言っていたけど。
こんなにモテて彼女がいなかったなんて内心信じられなかった。
でも、つまり、それって。
「林檎が、郁也にとって初カノだよ」
雄也がにっこり笑ってそんなことを言ってのける。
初めてって、なんでこんなに嬉しい響きなんだろう。というか、初めての彼女が私でいいのかな、もしかして郁也ってB専????
「こいつは他の女とちげえんだよ」
ぽん、と郁也が私の頭に手を乗せる。
「雄也、テメーも手出したらぶっ殺すからな」
雄也が「こえー」と言いながらケラケラ笑う。こんなの好きって言ってくれるのは物好きな郁也くらいだよ。
でも嬉しいな。
頰に手をあてるとすごく熱くて、自分の顔が赤くなっているのがわかった。もう、ずるいな、郁也は。
「いやー驚いた驚いた、まさかあの西条郁也が女の子のこと待ってるなんてね!」
目の前でゲラゲラと声をあげながら笑う雄也。それを「だまれ」と言いながら睨む郁也。
どうやら2人は幼馴染の腐れ縁というやつらしい。
あの後、とりあえず話でもするかということになり、私たちは近くのファーストフード店に来ていた。
隣に座っている郁也は殺気立っているものの、『王子様』の仮面は完全に外している。それって心を許してるってことだから、きっとふたりは仲良しなんだと思う。
「仲いいんだねえ」
「えっ、そう見える? 腐れ縁なだけなんだけどねー。小学校からずっと一緒だもん。な、郁也?」
「まあな」
郁也はイキナリなんだか照れくさそうだ。
「コイツ昔っからモテてさー。中学の入学式なんて、その日にテニス部の一番可愛い先輩から告られてんの!」
「へえ、そうなんだ……」
「そんなこと忘れたっつうの」
郁也がまた機嫌を損ねて黙りこむ。
わかっていることだけど、郁也ってモテるんだよね。こんな性格だけど、表の顔は王子様を貫いてるし。
というか時々忘れそうになるけど、郁也の外見は超がつくほどイケメンだ。モテないわけがない。
「でもさ、こいつ絶対彼女だけは作んなかったの」
「えっ」
「……」
郁也が黙りこむ。たしかに、言い寄られてばかりで自分から恋なんてしたことないし、彼女なんていたことないって言っていたけど。
こんなにモテて彼女がいなかったなんて内心信じられなかった。
でも、つまり、それって。
「林檎が、郁也にとって初カノだよ」
雄也がにっこり笑ってそんなことを言ってのける。
初めてって、なんでこんなに嬉しい響きなんだろう。というか、初めての彼女が私でいいのかな、もしかして郁也ってB専????
「こいつは他の女とちげえんだよ」
ぽん、と郁也が私の頭に手を乗せる。
「雄也、テメーも手出したらぶっ殺すからな」
雄也が「こえー」と言いながらケラケラ笑う。こんなの好きって言ってくれるのは物好きな郁也くらいだよ。
でも嬉しいな。
頰に手をあてるとすごく熱くて、自分の顔が赤くなっているのがわかった。もう、ずるいな、郁也は。