「ねえ」
「……なんだよ」
「ふふ、照れてるの?」
「うるせえバカ、ふざけんな」
「かわいいとこあるよね、郁也って」
「……なんなんだよほんとに……」
「ねえ、伝わった?」
「……うん」
『うん』って。普段の郁也から、絶対聞けない言葉。まだ恥ずかしいのか、顔は一向に上げてくれない。
「ホント?」
「……うん」
どうしよう、私今すごく幸せだ。
郁也のこの反応が、私のこと本当にすきってこと表してるみたいでドキドキする。男の人に可愛いいなんて言ったら怒られるかな。
ああもう、こっち向いてよ。今の郁也の顔、見たいから。
「郁也、好き、だよ」
シン、と静まり返る教室内。
思わず口から出てしまった言葉に自分で驚く。きっと私の顔は真っ赤なんだろう。顔は見えないけど、郁也の耳も真っ赤に染まっている。