イケメンに手を引かれたどり着いたのは誰もいない屋上だった。

もしかして私フルボッコにでもされるんでしょうか。それとも朝みたいにここで襲われるんでしょうか。


フェンスに追い込まれた私を見下ろしたイケメンが、カシャンッ、とフェンスに手をかける。これが噂の壁ドンか!

しかし胸きゅんもクソもありゃしない。こんなのただただ恐ろしいだけだ。ビクッと震える私の肩。


さっきの王子様スマイルとは打って変わって、えらく無表情に私を見る目は信じられないほどに冷え切っている。

……コイツもしや二重人格か?!

ていうか、この状況なんなんですか? 殺されるんですか? もしかして突き落とされる? 覗いたから? え?





「……今朝はヘンなとこ見せちゃったね」


「………………へっ?」



若干涙目になりながら肩を震わしていたた私は拍子抜けしてなんともマヌケな声を発してしまった。

ていうか。え、なにコレ。
もしかしてこの人、謝ってる?