さらに強く舌を絡ませると、それに反応した林檎の体がビクリと跳ねる。その反応がいちいち可愛くて、俺は「こいつが欲しい」っていう感情を抑えることができない。


離したくない、離せない。


今までキスなんて、ただの通過点でしかなかったはず。俺を求める奴らに好きなだけしてやるカタチだけのものだったはず。


それなのに。


______キス、したい。林檎と。



真っ赤になりながらうつむく林檎を見たい。かわいくていとしくて、欲しくて欲しくて堪らない。ああ俺、どうしちゃったんだろうな。




「……郁也っ!」



突然、強く肩を押されてふと我に返った俺は、ビックリして林檎から離れた。

その隙に、俺に抑え込まれていた林檎がゆっくりと起き上がる。




「最低っ………!」



その時、想像もしていなかった林檎の泣き顔がそこにあって。

俺はただ呆然とするだけで、何も言えなかった。



走り去っていく林檎を、追うこともできずに。