「……おまえ」
私が目線をそらした隙に郁也が話し出す。
「俺以外ともうすんなよ」
その言葉に驚いて、私は視線を郁也に戻す。さっきよりも鋭い視線で私を射抜く郁也の目。
「は、はあ？ な、に…言ってるの…」
「なにって、そのまんまだろ」
「いや、意味わかんないんですけど…」
「恋愛もキスもその先も、俺が教えてやるっつってんの」
「は？ いやいみふめ…」
「だから、ぜってえ他の男とはすんなよ」
" 恋もキスも、その先も "
そう続いた郁也の言葉に、喉まで出かかった反論の言葉をぐっと飲み込む。
「……ぜってえ、すんな」
どうして、そんな目するの？
だってこれは〝賭け″でしょう？
ただの、ゲーム、だよ？
そうやって決めたのは、郁也じゃない。
「……わかったか？」
たくさんの疑問とモヤモヤを抱えたまま。何も言えないで私はゆっくりと、その言葉に頷いてしまった。
